「vanlife(=バン生活)」というフレーズを聞いたことがありますか?
日本ではまだまだ聞きなれない言葉かもしれませんが、インスタグラムで「#vanlife」と検索してみると、244万件以上の投稿がヒットします(2018年1月12日現在)。
世界的に見ればバン生活は、【場所にとらわれない働き方】のひとつの在り方として定着し始めていると言って過言ではありません。
そんなバン生活を日本でいち早く取り入れ、自らの事業にも活かしているのが、トラベルオーディオガイド「ON THE TRIP(オンザトリップ)」代表の成瀬勇輝さんです。
成瀬 勇輝(なるせ ゆうき)
東京都出身、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。ビジネス専攻に特化した米ボストンにあるバブソン大学で起業学を学ぶ。帰国後は、企業コンサル、イベント事業を経て日本を世界に繋ぐビジョンのもと株式会社number9を立ち上げ、世界中の情報を発信するモバイルメディアTABI LABOを創業。2017年、ON THE TRIPを立ち上げる。著書に『自分の仕事をつくる旅』『旅の報酬 旅が人生の質を高める33の確かな理由』。
ON THE TRIPは「あらゆる旅先を博物館化する」というコピーを掲げ、日本語、英語、簡体字、繁体字の4言語で、スマホからオーディオトラベルガイドを楽しめるアプリ。
博物館や美術館で観光客向けの音声ガイドが提供されていることは珍しくありませんが、それをアプリで博物館や美術館に限らず、すべての屋内外を問わない文化的な観光スポットで楽しめる体験を提供しているのがON THE TRIPです。
「移動しているときが一番仕事できる」
「デスクの前で仕事をするのは1時間が限界。同じ場所にいると、飽きてくる」
「新幹線で3時間移動があるとラッキー」
「ミーティングはサウナで」
「バンで暮らす」という、徹底的に【場所にとらわれない働き方】を実行している成瀬さんだからこそ発せられる言葉の数々、お楽しみください。
一番仕事が捗るのは、移動中
── 成瀬さんは、著書の『自分の仕事をつくる旅』『旅の報酬 旅が人生の質を高める33の確かな理由』からもわかるように、旅を仕事にしていこうという気持ちがあると思うのですが、それはいつから持っていた想いなのでしょうか?
成瀬 僕は中学・高校の頃から50年代終わりのアメリカ文学が好きで、いわゆるビートニク(ビート・ジェネレーション)の作家が好きだったんです。ジャック・ケルアック『路上(オン・ザ・ロード)』とか、アレン・ギンズバーグの『吠える』。少しあとですが『イージー・ライダー』みたいな映画とか。ああいう世界観に憧れて「自分もやってみたい」という気持ちはもともとあって。
── なるほど。そのやり方のひとつが現在のバン生活だったりするわけですね。
成瀬 そうですね。
── バン生活の拠点はあるんですか?
成瀬 一応、決まった拠点はあります。いまは奈良県なんですけど、お寺の駐車場にバンを止めさせてもらっていて、そこを中心に活動しています。で、バンで日本全国に取材へ行くんですけど……ひとつ言えるのは、僕自身、移動しているときが一番仕事できるんですよ(笑)。
── あっ、なるほど! 場所を問わずに働く方々にお話を聞いていると、そこが、本気でノマドワークできるひととそうじゃないひとの違いだなぁと思いました。
成瀬 それこそ2016年に書いた本『旅の報酬 旅が人生の質を高める33の確かな理由』は、ほとんどすべて飛行機の中で書きました。最近はひとつの場所に留まっていると、落ち着いて仕事ができなくなっちゃいました(笑)。
── はははは!(笑)。移動していないと仕事ができない体質。
成瀬 もう完全に社会不適合者ですよ(笑)。オフィスに行っても、デスクの前で仕事をするというのが、1時間が限界でしょうね。なんというか……同じ場所にいると、飽きてくるというか。
でも新幹線で3時間移動ということなら、めちゃくちゃ集中して仕事できるんですよ。移動時間が長いと「ラッキー! めっちゃ仕事できる!」って思います。新幹線に乗っていると、どんどん景色が変わっていくじゃないですか。それが楽しくて。
── 実際に今、めちゃくちゃ楽しそうにしゃべってくれていますね(笑)。
成瀬 景色が変わっていくのが楽しいんです。「あっ、富士山が見える」とか。新幹線は、最高の仕事場ですよ。だから最近はあえてどんどん移動を入れていて。移動を増やすと、仕事がめっちゃ捗るんですよ。たまに東京にいるときは、山手線をぐるぐる周りながら仕事しようかなと思いますもん(笑)。
ちょっと前までは「移動していても仕事できるよ」っていうスタンスだったのですが、「移動しないと仕事ができない」になっちゃってますね。なんとも不器用な働き方です。
── 今、新幹線の話が出ましたけど、移動スピードが速ければ速いほうがいいとかあるんですか?
成瀬 速さというよりは、景色が変わっていくことが好きなんでしょうね。「アイデアは移動距離に比例する」という言葉がありますけど、僕なりの視点で言うと、それって五感が刺激されるからだと思うんです。要は、見たことのない景色、嗅いだことのない匂い、聞いたことのない音、というものが自分の五感に直接訴えかけてくるわけですよね。それによって、クリエイティビティが刺激されるということ。
ミーティングはサウナで
── 移動しながら働く上で、iPhoneとかパソコンとか必要なものはいろいろあると思うんですけど「これは欠かせない」というモノってありますか?
成瀬 僕、風呂や温泉が大好きなんです。だから小さくなるタオルとか、お気に入りのシャンプーとか、そういうお風呂グッズですかね。サウナが好きで、毎日行くんですよ。
── 僕も結構サウナ好きで週4くらいは行くんですけど、毎日行っちゃいますか?(笑)。
成瀬 本当に、毎日行くんですよ。僕は温泉狂なので、一番いいのは温泉とサウナがあるところがいいんですけど。温泉とサウナと水風呂。この1パッケージがパラダイスなんです。
── パラダイス(笑)。温泉やサウナは、コンディション管理に欠かせない?
成瀬 この2年間、ほとんど毎日サウナに行っているんですけど、一度も風邪を引いていないです。ちなみに今日は三軒茶屋の「八幡湯」に行きます。サウナがミーティングの場になるんですよ。
── サウナでミーティングするんですか?
成瀬 最近は、会食を全部サウナに変えてますね。
── 会食をサウナに。
成瀬 僕は、お酒そこまで好きではないんですよ。そうすると、会食はカロリー摂らなきゃいけないし、お金かかるし、連日やっていると身体によくないですよね。だったら、サウナでミーティングしたほうがいいですよ。連日サウナに行くと、それだけ健康になるわけじゃないですか。うちのライターとのミーティングも、ほとんどサウナです。それに、北に南に移動するから。気温差も大きいので健康管理は大事です。
── 2017年はウェブやITの業界やファッション業界ですごくサウナが流行りましたよね。
成瀬 そうなんですよ。数年前までひとりでずっと水風呂に入ってたんですけど。徐々にIT業界周辺のひとたちがサウナにハマってきて。昔は「サウナで打ち合わせしましょう」って言ったら頭おかしいと思われていましたけど、最近は割と受け入れられるから嬉しいですね(笑)。
こういう働き方もできるんだってひとつの選択肢になってくれたらいい
── バン生活って、いつまで続けるかって考えることありますか?
成瀬 ずっとバンで生活しようと思っているわけじゃなくって。僕は、どういうふうに暮らすか、って決めなくていいと思っているんです。その時々に、自分の想いに忠実にやれたらいいと思っていて、ライフステージによって、暮らしが変わっていくのは当然だと思います。
それこそ、誰かと結婚したら「家族と一緒に海外をまわりたいな」とか今は漠然と思っていますが、それは実際にそうなったときに、その時々のステージに合わせて考えられたらいいですよね。
いつどうやってバン生活を終えるのか、次の生活の仕方に変わるのかっていうのは、まったくわからないです。でも、わからなくていいと思っています。たとえば「バン生活をする」って去年の今頃の時期にはまったくそんなこと考えていませんでしたから。
── 成瀬さんは、バン生活や「場所にとらわれない働き方」を誰かに薦めたいですか。
成瀬 いや、それはまったく思わないです。「僕らみたいな生活を、みんなどんどんしてほしい」とは思わないですよ、大変なことも、たくさんありますし(笑)。ただ、僕らは僕らなりの視点で、楽しいことや傷ついたりすることも含めて、ブログに書いたり直接会って話したりして発信しています。そうやって発信して世界と共有することは重要だと考えていますね。
そうしていたら、どこかで偶然誰かがそのブログを読んで「こういう働き方・暮らし方もできるんだ」ってひとつの選択肢になってくれたらいいなぁとは思います。
今のような働き方が自分にとってベストなのか理想なのかって正直自分でもわかっていないです。
でも、間違いなく「今、やりたいこと」ではあるんです。バンで暮らして仕事をしていることは、自分がやっているサービスにとってもシナジーがあるし。その時々に「やってみたいな」「おもしろそうだな」と思えることをやっていく生き方が最高なんじゃないかなって思います。そうすると、人生がどんなことをもたらしてくれるんだろうって、未来にワクワクしますからね。
(この記事は、合同会社cocowaと協働で製作する記事広告コンテンツです)
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